茶碗は、茶道において抹茶を点て、客に供する最も重要な主役となる道具です。単なる器ではなく、亭主の趣向や「侘び寂び」の美意識を表現する鑑賞の対象とされます。
産地により唐物(中国製)・高麗物(朝鮮半島製)・和物(日本製)に大別されます。特に、井戸茶碗(高麗物)や楽茶碗(和物、千利休の好み)などは、その素朴な風合いと深い味わいから、茶人の間で珍重されてきました。
季節感の演出も重要な役割です。夏には、口が広く浅い平茶碗を用いて、お茶が冷めやすく涼しげな趣を演出します。冬には、口が狭く深い筒茶碗や厚手の冬茶碗を用いて、お茶の温かさを保ちます。
茶碗の高台(こうだい)の形、釉薬のムラ、不完全な造形に見出す「景色」など、細部にわたる美しさが鑑賞の醍醐味です。
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