長沢蘆雪(ながさわろせつ)という絵師を知っていますか?なんでも絵師としての実力は認められていたものの、ちょっと皮肉屋で愛想のない性格だったこともあり賛否両論な人物としても知られています。長沢蘆雪は円山応挙の高弟でもあったともいわれていますが、いったいどんな人物だったのでしょうか。
長沢蘆雪は1754年に京都の篠山に生まれます。下級武士の家庭だったこともあり、とても貧しい子ども時代を過ごしていました。その後、絵師としての道を志すようになると円山応挙のもとに入門しあっという間に高い評価を得るまでになります。
当時円山応挙の弟子は多くが町人だったこともあり武士の弟子というのは異色の存在でもありました。奇抜な着想や大胆な構図など、独自性あふれる画風が特徴でした。
長沢蘆雪はとても酒好きで快活な性格であり、傲慢な一面もあったそうです。過去に何度も破門されたなどの逸話や憶測しか、履歴が殆ど残っていません。まさに“奇才”とも呼ばれるにふさわしい人物だったのです。
長沢蘆雪の作品
・虎図
長沢蘆雪の描いた虎図は、数々の絵師が残した虎とはまた一味違った風貌が特徴です。ちょっとかわいらしい無邪気な猫のような虎が描かれています。1781年~1789年前半ごろに描かれたといわれている虎の絵は、応挙の弟子として認められたばかりの頃に描いたものです。
そのため長沢蘆雪らしさというよりも、少しおとなしめに描かれている気もします。一節によると大きな猫を描いたなんていわれることもあるように、ユーモアもありますね。
・白象黒牛図屏風
六曲一双の画面をはみ出るほどダイナミックに描かれている、白い象と、黒い牛がついになっている屏風です。あまりの存在感に声を失ってしまうほどの迫力があります。その大きさを表すように、黒い鳥と白い仔犬が描かれているなど、大きさの対比もとてもわかりやすく、時代が変わっても色褪せることのない魅力のある屏風です。
・牡丹雀図
1786年~1787年に描かれた絵になります。色鮮やかに描かれていることもあり、ひと際目を惹く作品でもありますね。県指定文化財にも指定されるなど、高く評価されています。美しく咲き誇る牡丹の上で雀が楽しそうに遊んでいます。全体的に絵の下のほうに中心があり、なんともいえない絶妙なバランスが美しいですね。
まとめ
長沢蘆雪の作品を見ると、とても才能に溢れた絵師なのが伝わってきますね。どれも生き生きと描かれていて、まるで本物が目の前にいるかのような迫力です。きっと長沢蘆雪自身もとても素敵な人だったのではないでしょうか。