小川破笠

小川 破笠（おがわ はりつ、1663-1747）は、江戸時代中期に活躍した漆芸家・蒔絵師です。
多才な芸術家: 俳諧（松尾芭蕉門下）、土佐派の絵画、肉筆浮世絵なども嗜むなど、マルチな才能を発揮しました。
独自の技法: 蒔絵の伝統的な手法に飽き足らず、漆器面に鉛、貝、陶片（陶磁器の破片）、象牙、堆朱などを埋め込み、蒔絵と組み合わせて文様を表現する「破笠（りつおう）細工」または「笠翁（はつおう）細工」と呼ばれる独自の技法を創始しました。これは当時の日本の漆芸品としては極めて斬新なものでした。
作風: 俳人としての素養を活かし、俳句や漢詩、中国風の文様などを題材に取り入れ、その独特な趣が人気を博しました。作品にはしばしば、陶片で作った「観」の字の印章が埋め込まれています。
代表作: 重要文化財である「柏木菟蒔絵料紙箱及春日野蒔絵硯箱」などが知られています。