明王は、仏像の階層の中で、如来の化身(真理を説くための変化した姿)と位置づけられる尊格です。仏の教えに従わない衆生(人々)を力ずくで導き、煩悩を打ち砕くという重要な役割を担っています。
明王像の最大の特徴は、恐ろしい形相(忿怒相:ふんぬそう)をしている点です。これは、単なる怒りではなく、大いなる慈悲からくる激しい姿であり、人々を仏道へと引き戻すための強い意志の表現です。
姿: 恐ろしい顔つき、体中に炎(火炎光背)を背負い、悪を打ち砕くための武器(持物)を持っていることが多いです。
代表例:
不動明王(ふどうみょうおう):大日如来の化身とされ、右手の剣で煩悩を断ち、左手の羂索(けんじゃく)で人々を救い上げます 。
五大明王:不動明王を中心とし、降三世(ごうざんぜ)、軍荼利(ぐんだり)、大威徳(だいいとく)、金剛夜叉(こんごうやしゃ)の四明王を加えた五尊。
