水指(みずさし)は、茶席において「清らかな水」を貯えておくための容器です。茶を点てる際に、釜へ水を補給したり、茶碗や茶筅を清めたりする水として用いられます。
単なる実用品に留まらず、茶室の床の間や棚に置かれることで、空間の景色を構成する重要な美術品でもあります。水という清浄な要素を象徴し、茶道における「和敬清寂」の精神を体現します。
材質は、陶器(唐津、備前など)、磁器(染付など)、木地、漆器、金属など多岐にわたります。季節や他の茶道具との取り合わせを考慮して選ばれます。例えば、夏には涼しげなガラス製や、釣瓶(つるべ)形が好まれます。
水指の置き方や蓋の扱い方は流派や点前(お点前の種類)によって作法が異なり、その一つ一つの所作が「一期一会」の茶会を美しく演出します。水指の蓋の代わりに夏の葉(葉蓋点前)を用いるなど、趣向を凝らすこともあります。
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