
買取価格15,000円
茶道具としての棗(なつめ)は、抹茶を入れる漆器の代表格で、その価値と美しさは作家物(さっかもの)によって大きく高まります。特に、漆塗りの名産地である山中や輪島、京漆器などの産地の作家が有名です。
棗作家は、木地の成形から漆塗り、そして華やかな装飾を施す蒔絵(まきえ)まで、高度な技術を駆使します。蒔絵は、漆で描いた文様に金銀の粉を蒔きつけて定着させる技法で、花鳥風月や古典的な意匠が繊細に表現されます。
著名な作家には、千家十職の一人である中村宗哲を筆頭に、前端春斎や吉田華正などがいます。彼らの作品は、茶会の格を上げる道具として、また一つの美術工芸品として、高い評価と人気を誇ります。作家の個性や時代の流行を映しつつ、茶の湯の精神性に通じる静謐な美を追求しています。
