世界的にも有名な浮世絵師といえば、「葛飾北斎(かつしかほくさい)」なくして語れません。生涯のなかで約3万点にもなる作品を生み出しているものの、本人についてはほとんど資料が残されていない謎の多い人物としても有名です。絵を描くための人生といっても過言ではない、葛飾北斎とはどんな人物だったのでしょうか。
葛飾北斎は、1760年の江戸本所割下水に生まれ、4歳で幕府御用鏡となります。幼い頃から写生をするのが好きで、手先の器用さもあり木彫り職人に弟子入りしたこともありました。19歳で勝川春章のもとに入門して20歳には、浮世絵の世界に進出するも、好奇心旺盛な性格によって内緒で洋画を学んでいたこともあり破門されてしまいます。
その後、オランダの風景版画に影響を受け1805年に葛飾北斎の名前を名乗るようになってから、独立した絵師としての道を切り開いていきます。読本への挿絵を中心に浮世絵でも多様な表現を使い次々に作品を発表していきます。葛飾北斎は変わり者としても知られ、90年の生涯のなかで93回も引越しをしていたそうです。
■葛飾北斎の作品
1. 酔余美人図
北斎が描いた美人図のなかでも最も有名な作品になります。描かれているのはなんとも艷やかな芸者さんです。三味線のおけいこを終えてお酒をたしなみ、少し酔っ払っている姿が描かれています。女性らしい表情や仕草が、なんとも心を揺さぶられる作品です。
2. 富嶽三十六景
代表作としても名高い作品になり、72歳のときに描いたものです。富士山をさまざまな地域や角度から描き、46図かた描いた錦絵でもあります。富士山が季節や見る方向によっても表情を変えることに注目しました。ゴッホなど世界の芸術家にも大きな影響を与えました。
3. 北斎漫画
葛飾北斎の名前を世界的にも有名にした絵本です。55歳で初編を手掛けて以降、亡くなる迄人気が高く衰えることがなかったといわれています。7つのキーワードから紹介した作品があり、躍動感のある動きやちょっとしたユーモアも感じられ、科学者になった視線で観察しています。存在するはずのない動物をリアルに描く姿も印象的です。
4. 肉筆画帖 鷹
葛飾北斎の数ある作品のなかでも人気が高く、生き生きと描かれている鷹の姿は力強くもあり、羽根の一枚一枚が丁寧に描かれています。今にも飛び立ちそうな真っ直ぐに見つめる瞳が印象的な作品です。
葛飾北斎は今までの常識にとらわれることなく、生涯にわたって絵を描くことを楽しんでいました。作品を見れば自然と伝わってくるものばかりです。